骨粗鬆症の患者様や一部の癌患者様の治療薬としてビスフォスフォネート(BP)という薬が良く使われています。
骨が溶けていくのを抑制し、骨折のリスクを減らすなど多くのメリットのある薬なのですが、顎骨壊死(顎の骨が溶けて露出する)という副作用が抜歯などの外科治療を行った際に、非常に稀ではあるのですが起きることがあります。
当院でも1件顎骨壊死を経験しています。
ビスフォスフォネート薬のパッケージには「歯医者に伝えるよう」記載されています。ビスフォスフォネート薬による顎骨壊死は一旦起きてしまうと簡単に治すことが出来ない病気のため、リスクを減らすための治療指標があるのですが、2016年に変更されました。
2012年に発表された治療指標とは大きく変わっている面もあるため簡単に抜粋します。
豊中市 ますだ歯科医院では、2016年の指標をもとに骨粗鬆症や癌の主治医と連携をとって治療にあたります。
2016年版 新指標
抜歯などの外科治療について
・ビスフォスフォネートを休薬しても顎骨壊死のリスクを減らせるかどうかは分からず、むしろ休薬することによる骨折リスクの増加のほうが危険である。
・顎骨壊死を防ぐためには、お口の中をきれいに保ち、感染を防ぐことが効果的。
・4年以上薬を使っている方や、顎骨壊死のリスクが高いと思われる方は、外科治療前2か月程度の休薬が可能であれば行うと安心。外科処置2週間後を目安に再開する。
インプラント治療について
・骨粗鬆症に対してビスフォスフォネートを使っている患者様・・・医科の主治医と相談して決める
・癌に対してビスフォスフォネートを使っている患者様・・・行わない
2012年に比べると、ビスフォスフォネートは休薬せずに、感染予防に注意して歯科治療をすることが勧められるという大きな変化があります。
豊中市 ますだ歯科医院では今後は2016年指標にそって、医科の主治医に相談させていただきながら外科治療前には徹底的な口腔清掃、事前からの抗生物質内服などを行い外科治療を行います。
またインプラントに関しても新指標に従い対応いたします。
2012年版 指標
抜歯などの外科治療について
・骨粗鬆症でビスフォスフォネート使用 3年未満・・・休薬しない
骨粗鬆症でビスフォスフォネート使用 3年未満でもリスクのある方・・・3ヶ月休薬
骨粗鬆症でビスフォスフォネート使用 3年以上・・・3ヶ月休薬
・癌でビスフォスフォネート使用・・・休薬しない
今までは2012年版指標に沿って、何割かの患者様には医科の主治医の先生と連携して休薬してもらっていました。外科治療2か月後に薬を再開してもらっていました。
注意
ビスフォスフォネートによる難治性の顎骨壊死を起こさせないようにするための指標が骨代謝学会や骨粗鬆症学会、歯周病学会などの共同委員会から数年毎に発表されていて、その抜粋となります。
あくまでも患者様に分かりやすい部分を抜粋していますので、実際の治療にあたっては歯科・医科の先生の意見を優先してください。
この副作用が発表されてからまだ10数年しかたっていないこともあり、時間と共に様々なことが分かるようになり改定が重ねられています。今後も改定されていくでしょう。
豊中市 ますだ歯科医院では指標の変化を見落とさず、最新の知見に沿って治療にあたりますのでご安心ください。