先週水曜に父が逝去し、通夜・葬儀のために急遽多くの患者様にお約束の変更をお願いいたしました。
お陰様で滞りなく父を送り出すことが出来ました。
せっかくいただいていたお約束を私用にてキャンセルさせていただくことになり、ご迷惑をおかけした患者様にこの場を借りてお詫びさせていただくとともに、快く変更してくださったことに深く感謝いたします。
私の父は歯科とは全く無関係なのですが、私にも大きな影響を与えてくれる存在でした。
父も私も無口ですので、二人でいてもほとんど会話はないのですが、常に私が進む道を応援し、私の盾となってくれていました。
私は京都の田舎にある家の長男として生まれました。昔ながらのしきたりも多い土地柄で、跡取りとして期待され育ちました。
そんな私ですが歯学部を目指し、広島に行くことになり、卒業後は神戸へ勤務、開業は縁もゆかりもない豊中ですることに決め、周囲の期待に反することをしてきていたかもしれません。
それでも父は常に「英人がいいと思ったならそれでいい」と私の思いを後押ししてくれていました。
開業したのちも「英人には患者様がいるのだから」といって、いろいろなことがあっても診療を最優先に行わせてくれました。
医院や私に関しても不意に助言をくれました。専門家ではないからこその、患者様の立場にたった意見に気づかされることがたくさんありました。
父は病気が見つかった際、治療の手立てが亡くなった際も、泣き言を言わず、動揺も見せず、しんどいこと痛いこともあったでしょうが、頑張り通しました。それは父としても人間としても尊敬する姿でした。
そんな生前の父の期待に応えられるよう、また息子や娘にとって私もそのような存在となれるよう成長したいと思っています。
また父は約1年半闘病生活を送っていましたが、そこでは今後の歯科医師としてのありかた、歯科医院の目指す姿に関してもたくさん考えさせられることがありました。
様々な病院に行きました。いろいろな病院、いろいろな先生や関係者にも会いました。
歯科という医療分野に携わっていますが、医科の専門的なことはわかりません。
そうなると、病院や担当医選びもHPで〇〇専門医や症例数などから判断するしかない・・・
患者様が歯医者を選ぶ際も同じように悩み、不安を感じながら選んでいるのだろうと感じながら日々を過ごしました。
そんな中で、どういう病院、先生がいいと思えたかいうと、
肩書や症例数ではありませんでした。
どれだけ患者のことを考えて治そうとしてくれているのか、話を聞いてくれるのか、いいことも悪いことも正直に教えてくれるのか、そのような「患者への思いが感じられるかどうか」がとても大切な要因でした。
患者様の希望を全てかなえることは当然できません。出来ない事も、うまくいかない事も多々あります。
そのようなときにも「患者への思い」が伝われば、納得も出来ますし、仕方ないと諦めることも出来ました。
父の1年半の闘病において、もっとしてあげれたことがなかったのか、もっといい方法は無かったのか・・・
その悩みは今後も無くならないでしょうが、その場その場で出来ることは精一杯できました。
父も家族も治療に携わってくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
父に関わってくださった全ての皆様/施設に感謝しています。
その中でも特に静岡県立がんセンターの上坂先生、あそかビハーラ病院の岡本先生、高槻高校の同級生で医師としてアドバイス、力添えなどしてもらった古谷先生、大村先生には、感謝してもしきれません。
私も、ますだ歯科医院も一人でも多くの患者様に、そのように思っていただける存在になれるよう努力していきます。
来週からは今まで通り、精一杯診療を行いますので、よろしくお願いいたします。
院長