インプラントを希望される骨粗しょう症の方に知っておいてほしいこと
骨粗しょう症は骨の密度が悪くなっている病気ですので、インプラント治療に関してはリスクがあります。
しっかりした地盤に家を建てるのに対して、弱い地盤に家をたてるのと同じような状況ですから、インプラントのもちが悪い可能性があります。ただし、地盤が弱い分、手入れをしっかりしたり、手術の際に様々なテクニックを用いることでそのリスクを減らすよう取り組んでいます。
骨粗しょう症だけでなく、糖尿病や喫煙、また歯周病も同じようにインプラントを長持ちさせるためにはリスクになります。豊中市 ますだ歯科医院ではリスクがある方に関してはリスクを十分に説明したうえで、できる限りリスクを減らしインプラント治療を行っています。
骨粗しょう症の方は骨が弱いということに加え、もう一つのリスクがあります。
骨粗しょう症に使われる一部の薬の副作用に顎骨壊死があります
骨粗鬆症の患者様に対してビスフォスフォネート(BP)という薬もしくはデノスマブが良く使われています。
製品名としては
ボノテオ、リカルボン、アクトネル、ベネット、ボナロン、フォサマック
ボンビバ、リクラスト、プラリア
といった薬になります。
骨が溶けていくのを抑制し、骨折のリスクを減らすなど多くのメリットのある薬なのですが、顎骨壊死(顎の骨が溶けて露出する)という副作用が抜歯などの外科治療を行った際に、非常に稀ではあるのですが起きることがあります。
薬のパッケージには「歯医者に伝えるよう」記載されています。ビスフォスフォネート薬による顎骨壊死は一旦起きてしまうと簡単に治すことが出来ない病気のため、リスクを減らすための治療指標があるのですが、2016年に変更されました。
2012年に発表された治療指標とは大きく変わっている面もあるため簡単に抜粋します。
豊中市 ますだ歯科医院では、今後2016年の新指標をもとに骨粗鬆症の主治医と連携をとって治療にあたります。
2016年版 新指標
抜歯などの外科治療について
・ビスフォスフォネートを休薬しても顎骨壊死のリスクを減らせるかどうかは分からず、むしろ休薬することによる骨折リスクの増加のほうが危険である。
・顎骨壊死を防ぐためには、お口の中をきれいに保ち、感染を防ぐことが効果的。
・4年以上薬を使っている方や、顎骨壊死のリスクが高いと思われる方は、外科治療前2か月程度の休薬が可能であれば行うと安心。外科処置2週間後を目安に再開する。
インプラント治療について
・骨粗鬆症に対してビスフォスフォネートを使っている患者様・・・医科の主治医と相談してインプラントをするかどうか、薬を休薬するかどうかを決める
2012年に比べると、ビスフォスフォネートは休薬せずに、感染予防に注意して歯科治療をすることが勧められるという大きな変化があります。
豊中市 ますだ歯科医院では今後は2016年指標にそって、医科の主治医に相談させていただきながらインプラント治療を行うようにいたします。
参考のために以前の指標も記載します。
2012年版 指標
抜歯などの外科治療について
・ビスフォスフォネート使用 3年未満・・・休薬しない
ビスフォスフォネート使用 3年未満でもリスクのある方・・・3ヶ月休薬
ビスフォスフォネート使用 3年以上・・・3ヶ月休薬
今までは2012年版指標に沿って、何割かの患者様には医科の主治医の先生と連携して休薬してもらっていました。外科治療2か月後に薬を再開してもらっていました。
注意
ビスフォスフォネートによる難治性の顎骨壊死を起こさせないようにするための指標が骨代謝学会や骨粗鬆症学会、歯周病学会などの共同委員会から数年毎に発表されていて、その抜粋となります。
あくまでも患者様に分かりやすい部分を抜粋していますので、実際の治療にあたっては歯科・医科の先生の意見を優先してください。
この副作用が発表されてからまだ10数年しかたっていないこともあり、時間と共に様々なことが分かるようになり改定が重ねられています。今後も改定されていくでしょう。
豊中市 ますだ歯科医院では指標の変化を見落とさず、最新の知見に沿って治療にあたりますのでご安心ください。