今回取り上げたのは、「歯ぐき年齢」です。
定期的にご来院いただいている何人かの患者様から「歯周病って年だから仕方ないんですよね?」「この歯と歯の間の歯ぐきの隙間も年だからですよね…?」と聞かれました。
そのようなとき、説明よりも何よりもあの写真をお見せしたいと思ってしまいます。
去年2月、大阪府高石市開業されている中島先生の医院での研修のときに、中島先生の80歳を超すお母様の口腔内写真を見せていただきました。その写真がなくてお見せできないのが残念です。天然歯(治療をしていない歯)でちゃんと歯と歯の間に歯ぐきがあって、今まで見た高齢の患者様のなかで最も健康的な歯と歯ぐきで驚きました。いまだに鮮明に焼き付いています。
つまり、実際の年齢と歯ぐきの年齢は関係ないということです。
そこで、10代~60代の方のお口の写真を見てスタッフに年齢順に並べてもらいました。
みんな正解したのは10代の写真のみでした。もちろん歯も写っていますので、歯の形、すり減り具合をヒントに当てられました。
ところが、20代以降は歯周病が著しく進んでいる写真もあったので難しかったようです。
なぜこんなに差が出てくるのでしょう?
・歯垢がきちんと取れている(歯ブラシ、歯間ブラシがきちんと使えている)
・歯周病菌の強さ(人によって、数が多い少ないがあったり、強い弱いがあったりする)
・免疫力(抵抗力が強い弱い)
・顎の骨、歯ぐきの厚さ薄さ
・かみ合わせ
・歯並び
・歯ぎしり、食いしばりのくせ
などいろんな要因があります。
すべて理想のお口の中という患者様は、なかなかいらっしゃらないです。ですので、気になるところ、弱いところを私どもで、少しでもいい状態になるよう、いい状態が保てられるようサポートさせていただきたいと思います。
患者様に説明してご理解いただけるように、今後もがんばって行きたいと思っております。
そして歯と歯肉は切っても切り離せません。
3年前のミーティングでH17歯科疾患実態調査の数値から歯年齢を取りあげました。
新たにH23の歯科疾患実態調査の結果が出ていますので、かいつまんで見てみます。
子どもの虫歯の数は減り、成人が失う歯の数も減っていっています。
乳歯の一人平均虫歯数(6歳) H17 3.7 → H23 1.8
永久歯の一人平均虫歯数(12歳) H17 1.7 → H23 1.4
※虫歯数とは、虫歯、治した虫歯、虫歯が原因で抜いた歯の数のこと。
1人平均喪失歯数(本) 40~44歳 H17 1.4 → H23 0.9
50~54歳 3.7 → 2.6
60~64歳 7.1 → 5.9
70~74 歳 13.1 → 11.0
80~84歳 19.3 → 16.1
8020(80歳で20本ある)は H17 24.1 % → H23 38.3 %
お子さんの虫歯の数や、ご自身の失ってしまった歯の本数と比べてどうでしょうか?
平均よりも虫歯数や失った歯が少ないからといって安心はできません。
多かった患者様には、リスクがあることを忘れずに継続して予防に取り組んでいただけたら幸いです。
中村純