先日横浜で開催されました日本臨床歯科CADCAM学会の学術大会に昨年に続き今年も参加いたしました。
会場は9月にスタッフと参加した国際歯科大会が行われたのと同じパシフィコ横浜でした。
昨年はCADCAMの技術面についての多くの発表がありましたが、
今年のテーマは『DX INNOVATION』~チームで築く次世代CAD/CAM歯科医療~となっており歯科医院全体でのDXについてがメインテーマでした。
ところで最近この『DX』という言葉をよく見かけませんか?
私は正直なところ何と読むかも初めはよくわかっていませんでした。
歯科におけるDXとは何か?まずはここからお話しします。
『DX』デジタル・トランスフォーメーションと読みその略です。
2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念で、
元々は「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」というものでした。
これが時代が進み現在は
「進化したデジタル技術を浸透させることによって生活をより良いものに変革すること」とされています。
なぜトランスフォーメーションなのに「T」ではなく「X」かというと、
Transを「X」と略すことが一般的な英語圏の表記に準じているためだそうです。
歯科業界で例えてみると、X線写真は現像液が必要であったものがパソコンに取り込めるフィルムを使うようになったこと、これはデジタル化です。
そのデジタル化したX線写真のデータをオンライン(クラウド上)で共有し
院内、院外で使用できるようにすることがDXと考えられています。
今回の多くの発表の中で私が感じたことは、「DX=変革する」と考えたとき、
歯科医院にとって理想的なかたちはどのようなものなのか?ということでした。
そして様々な話の中から
「サービスとしての歯科医院を変革する」
「歯科医院での働き方を変革する」
「歯科情報収集を変革する」
など、さまざまな可能性が考えられました。
※アナログ
※デジタル化して→DXへ
上の写真はスタッフコンペティションでのある医院のDXの取り組みの中での発表で
「患者様からの電話を受けた後の細かな内容を紙で残すよりも、コンピュータを介してクラウド上にあげておくだけでスタッフが誰でもどこからでも情報を確認できるようになった」
というところはとてもうまく利用できていて働き方改革にもつながったのだろうということがよくわかりました。
技術的な発表も新しいものが多くありました。
セラミックを焼く時にどういったところに注意して焼成すれば強度を保ち割れにくいものが作れるのかといった
電気炉の温度と焼成速度の研究をされている先生の発表では一度試してみよう!と思えることがたくさんありました。
また、いつも当院でもセラミックの歯型をとる時に使用している口腔内スキャナーで
実際作る歯とそれ以外のところも撮影する方法を学び、
さらにその顔の一部の立体情報と平面写真を重ね合わせるといったことができることを知りました。
今後は顔の平面写真ではなく顔自体を顔用のスキャナーで立体的に撮影をすることによって
これまでより理想的な歯を作るために様々な進化が遂げられていくことになるということがとてもよくわかりました。
まだまだ知らないことは多数あり、いかにこのDXの波に乗り遅れないように学ばなければいけないかということもよくわかり、
今後が楽しみな2日間を過ごすことができました。
歯科技工士 井上由偉